本との出逢い

演劇と哲学すること。東京にいって御茶ノ水と水道橋近くのアテネフランセにいきそびれて東京駅の近くのおちついた喫茶店でハムサンドとコーヒーを注文しました。いきそびれたのでそのまま本屋巡りをしました。

 『存在と時間』で家族の存在や人と人との間柄についてかんがえでているやさきに『現象学の根本問題』という木田元先生私家版の丁寧な翻訳を発見。まわりには哲学界の猛者たちがひしめいているようで心臓はばくばくしました。

 もともと私もなんでこの地球に生まれてきたのか解らないという哲学的な問いをもっていたのでどうにかこの問いを考察していた哲学者はいないものかとかんがえていました。
木田元先生の随筆やエッセイにふれていくうちに自分と<同じ運命を背負っている>とかんちがいしてそこから哲学の道に脚をふみいれました。

 艱難辛苦の全集よりもむしろぜったいに木田元先生訳をおすすめします。「ここのぶぶんはここのぶぶんを参照したらいいよ」と笑いかけるように書いてある筆致は老練ながらも誠実でみずみずしい文体です。