2011-06-01から1ヶ月間の記事一覧

『大澤の冒険』

大澤は推理小説を書いていた。人間関係の深部をえぐるような小説で人気があった。 大澤は推理小説を書くかたわら、犬の世話をしており、妻はあまり犬の散歩をしないのでげんなりしていた。妻も小説を書いており、互いに原稿をみせあってきそいあっていること…

書店の想い出

私の通っている書店には椅子が必ずおいてある。それには「読んでほしい」もしくは「読むといいよ」という暗黙の了解が相互で取り交わされている。不可思議なことにある本を取るとそれにつられて何冊か本を買ってしまう悪癖が私にはある。しかし家で本を紐解…

『倫理学者と作家たち』

山田は倫理学者だった。きまった時間に起き、そしてきまった時間に眠りについた。山田には3人の作家の親友がいた。ひとりはハード・ボイルド作家の島田、ひとりは推理小説作家の大澤、最後にエッセイ・イストの島谷がいた。 山田は倫理学者にもかかわらず、…

教育哲学ショートショート 『外交官と倫理学講師』

サエユリ・アカネは外務省に務める「凄腕」だった。邦人をまもるためには命をもおしまなかった。そしてアメリカのCIAにたのまれて外務大臣をライフルで射殺してくれと、依頼があった。 夫は倫理学の非常勤講師を高校でおこなっていた。夫は妻のことを心配し…

本との出逢い

演劇と哲学すること。東京にいって御茶ノ水と水道橋近くのアテネフランセにいきそびれて東京駅の近くのおちついた喫茶店でハムサンドとコーヒーを注文しました。いきそびれたのでそのまま本屋巡りをしました。 『存在と時間』で家族の存在や人と人との間柄に…

教育哲学ショート・ショート 『体操選手』

その男は体操選手だった。朝になるといつものように炭酸マグネシウムを掌にこすりつけ鉄棒をやった。するり、するりと流れるようなフォームはぶれがなかった。 昼になると床の練習にとりかかった。夕方も長い時間、すみからすみまで筋肉を動かし続けた。夕方…

『魂の錬金術』構想ノートより

私は「信と知の問題に関心を持っている。そのことは「信じること」と 「知ること」は同じことなのか、私には疑問をもっていいた。人 自己の罪を赦すために教会へいき、祈りをささげる。一方、「知ること」つまり知識を習得し、世界や「世間」のために活かせ…

教育哲学ショート・ショート『哲学者と作家』

その哲学者はきまった時間に起き、きまった時間にねむった。一方、哲学者の親友の作家は夜遅くまで小説を書きためていた。哲学者の仕事は横文字の文章を縦書きの文章にだまくらかすことである。作家はアイディアにこまったときに哲学者の言動を書いていた。…

教育哲学ショート・ショート『地下の鉱脈』

トシマ・トオルは東京の地下にもぐって存在理由を求める旅に出ることにした。サイユリ・アカネは新しいネームと演劇のシナリオを書いていた。新しいネームは古風でサイユリ・アカネらしい筆づかいで書かれてあった。 トシマ・トオルの地下を探るような冒険は…

『道weg 神話構想ノート』より

私には3人の陸上競技なかまがいる。同じ飯を食べたなかで「いわずもがな」の間柄である。おそらく3人とも私よりもはるかに要領が善くテキパキとこなしていたからの様子だと現在の私の馬鹿ぷりをわらうにちがいない。 もし集まるとしたら三人はこうみえても…

倫理その3

トモタ・ノボルは外交官を主人公にした推理小説をかくことになった。普段は漫画のネームを書いているのに突然の依頼で舌をまいてしまった。トモタ・ノボルは推理小説をよんだり、イケダ・アサミの人脈を活かして推理小説家と話し合ってどのようなストーリー…

倫理学 その2

トシマ・トオルは小説を書くことに息づまりをかんじていた。そのためにいろいろな本を読破することにした。イケダ・マサミもまたスランプに陥っている状態だった。しかし、倫理学の授業はうまくはこぶことができた。おそらく「場所」になれてきたためだろう…

教育哲学ショートショート 「倫理学」

トシマ・トオルは全国をまわる教師だった。トシマ・トオルは倫理を教えていた。彼自身どうしてこの職業に就いたのかわからなかった。トシマ・トオルは学校がおわる頃になると自宅にもどり、黙々と小説を書いていた。その原稿は会社に出版されることがなかっ…

語学の勉強

フランス語:『フランス語ハンドブック』にある用例をノートに10回書き写しして構文力を鍛える。アテネフランセの古典ギリシア語の解説のフランス語が読めるようになるために。あるいは例文がのっているものを10回書き写してみる。ドイツ語:『標準ドイ…

教育哲学ショートショート 『新 ふたりの仕事』Ⅰ

トモタ・ノボルは漫画の原作を書いていた。サイユリ・アカネは作画をやっていた。トモタ・ノボルは昔、小説家だったために原作がそのまま文章として大学ノートに書かれていた。サイユリ・アカネは少女コミックに定期的にすぐれた作品を発表していた。また、…

理論と実践

私はアテネフランセに7月までかよって京都にもどろうとかんがえています。古典ギリシア語はよそうどおり難しく、解説がフランス語なので度肝をぬきました。クラシック・バレエに関しては京都に帰還してからぼっちらぼっちら再開していこうとかんがえていま…