教育哲学ショート・ショート『哲学者と作家』

 その哲学者はきまった時間に起き、きまった時間にねむった。一方、哲学者の親友の作家は夜遅くまで小説を書きためていた。哲学者の仕事は横文字の文章を縦書きの文章にだまくらかすことである。作家はアイディアにこまったときに哲学者の言動を書いていた。それほど哲学者の日常が一般人とはことなったものだからである。

 作家は『白鳥の湖』や『くるみ割り人形』などのロマンティック・バレエおとぎばなしに書きかえることを好きでやっていた。ファンタジーの世界は日常に花をそえる。作家は日常に花をそえるために漫画の勉強をした。漫画の勉強はファンタジーの扇をぱたぱたと開くものだからである。哲学者との交流は理論的な部分と感性的な部分にわけられた。哲学者は「分けることが好き」だった。